◇◇◇
さっきお兄ちゃんから
家に電話がかかってきた。
バイトが長引いちゃったから、
7時半に鳴門橋で待ち合わせって。
鳴門橋から駅までの道が
歩行者天国になっていて、
道路の両側に露店がずらっと並んでいる。
お兄ちゃん、まだ来てないみたい。
歩行者天国の道路を埋め尽くすくらい、
多くの人でにぎわっていて、
本当にお兄ちゃんと落ち合えるのか、
不安になった。
その時、前から人の塊が
こっちに向かってやってきた。
『きゃ~
浴衣姿の一颯さん、カッコいいい』
『桜色の浴衣が似合う男なんて、
十環さんくらいだよね』
間違いない。
あの集団の中心にいるのが、
私の待ち人だ。
しかも、十環先輩も一緒なのね。
ピンクや黄色い声の集団が、
私の近くまで来たところで、
お兄ちゃんが女子をかき分けかき分け、
私のところにやってきた。
「六花、お待たせ!」
ちょ……ちょっと!!
私の立場になって考えてみてよ!!
お兄ちゃんには
見えていないかもしれないけど、
お兄ちゃんたちを囲んでいたお綺麗な方たち、
私を睨みつけているんですけど……
『この人とは、関係ありませんから』と、
この場から逃げ出したいけど、
そんな私の思いを吹き消すように、
お兄ちゃんが私に微笑んだ。
「六花、可愛くしてもらったんだな。
春香おばさんに」
か……かわいい??
どうしちゃった?
お兄ちゃん。
『六花がブスすぎて、浴衣が可愛そう』
くらい言われる覚悟だったのに、
かわいいなんて言われると、
どんな顔していいかわからないじゃん。
しかもお兄ちゃんの浴衣姿。
かっこよすぎだし。
深紅の浴衣に、漆黒の帯をしめ、
ゆるく着こなすその姿は、
大人っぽいというか、
男の色気みたいなものが出ているような。
そんなフェロモンを振りまいているから、
女子たちが集まって来ちゃうんじゃ
ないのかな。
そしてもう一人、
囲まれていた女子たちに
優しい笑顔を向けながら、
私の元までやってきた十環先輩。
「りっちゃん、今日は俺も一緒でいい?」
薄いパステルピンクの浴衣を
サラッと着こなしている十環先輩。
明らかに私よりも、
パステルピンクが似合う。
私は、十環先輩狙いの女子たちの
視線におびえながら、コクリとうなずいた。
大丈夫かな?
お兄ちゃんと、
十環先輩と花火会場をうろつくなんて、
私、家に帰るまで無事でいられるかな?
女の嫉妬の恐ろしさに
ヒヤッと背筋が凍りついて、
ブルブル体が震えた。
さっきお兄ちゃんから
家に電話がかかってきた。
バイトが長引いちゃったから、
7時半に鳴門橋で待ち合わせって。
鳴門橋から駅までの道が
歩行者天国になっていて、
道路の両側に露店がずらっと並んでいる。
お兄ちゃん、まだ来てないみたい。
歩行者天国の道路を埋め尽くすくらい、
多くの人でにぎわっていて、
本当にお兄ちゃんと落ち合えるのか、
不安になった。
その時、前から人の塊が
こっちに向かってやってきた。
『きゃ~
浴衣姿の一颯さん、カッコいいい』
『桜色の浴衣が似合う男なんて、
十環さんくらいだよね』
間違いない。
あの集団の中心にいるのが、
私の待ち人だ。
しかも、十環先輩も一緒なのね。
ピンクや黄色い声の集団が、
私の近くまで来たところで、
お兄ちゃんが女子をかき分けかき分け、
私のところにやってきた。
「六花、お待たせ!」
ちょ……ちょっと!!
私の立場になって考えてみてよ!!
お兄ちゃんには
見えていないかもしれないけど、
お兄ちゃんたちを囲んでいたお綺麗な方たち、
私を睨みつけているんですけど……
『この人とは、関係ありませんから』と、
この場から逃げ出したいけど、
そんな私の思いを吹き消すように、
お兄ちゃんが私に微笑んだ。
「六花、可愛くしてもらったんだな。
春香おばさんに」
か……かわいい??
どうしちゃった?
お兄ちゃん。
『六花がブスすぎて、浴衣が可愛そう』
くらい言われる覚悟だったのに、
かわいいなんて言われると、
どんな顔していいかわからないじゃん。
しかもお兄ちゃんの浴衣姿。
かっこよすぎだし。
深紅の浴衣に、漆黒の帯をしめ、
ゆるく着こなすその姿は、
大人っぽいというか、
男の色気みたいなものが出ているような。
そんなフェロモンを振りまいているから、
女子たちが集まって来ちゃうんじゃ
ないのかな。
そしてもう一人、
囲まれていた女子たちに
優しい笑顔を向けながら、
私の元までやってきた十環先輩。
「りっちゃん、今日は俺も一緒でいい?」
薄いパステルピンクの浴衣を
サラッと着こなしている十環先輩。
明らかに私よりも、
パステルピンクが似合う。
私は、十環先輩狙いの女子たちの
視線におびえながら、コクリとうなずいた。
大丈夫かな?
お兄ちゃんと、
十環先輩と花火会場をうろつくなんて、
私、家に帰るまで無事でいられるかな?
女の嫉妬の恐ろしさに
ヒヤッと背筋が凍りついて、
ブルブル体が震えた。



