こういう時はいつも、
私が言っていることが、理解不能みたい。
「だからね、つま楊枝にたこ焼きを刺して、
屋根にいるカラスに向けたの」
「ちょっと待って、ちょっと待って……
普通、つま楊枝に刺して、
カラスにたこ焼きを食べさせようとする?」
「え?
たこ焼きって、
つま楊枝で食べるものなんじゃないの?
私、箸なんて持ってこなかったし」
桃ちゃんは急に、お腹を抱えて笑い出した。
「アハハ…… もう六花。
おかしすぎてお腹が痛いんだけど……
箸で食べさせるとか、
そういう問題じゃなくてさ。
お弁当の蓋を開けたまま、
置いとけば良かっただけじゃん……
もう、六花の行動って、本当に笑える」
どうやら私の行動が、
桃ちゃんの笑いのツボに
入ってしまったらしい。
涙が出るほど笑い続けているし……
笑える話なんて、私してないのに……
「もう、桃ちゃん、
そんなに笑うなら話さないからね」
「ごめん、ごめん、六花。
続きが気になるから、話して」
「だからね、
たこ焼きをカラスにあげようとしたら、
パクって食べられたの」
「カラスに?」
「ううん…… 七星……くんに……」
「えええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
桃ちゃんはあまりにビックリしたみたいで、
クラス中に響く大声で叫んだ。
ちょっと……
クラスのみんなが、こっちを見ているし……
「桃ちゃん、シーだからね。シー。」
「ごめん、ごめん。
全く想像していなかった展開だったから」
「私もびっくりしたよ。
七星くんの顔が……こんな近くにあったんだよ。
もう少しで、鼻と鼻がぶつかるかもって
思っちゃったもん」
桃ちゃんは、急に、優しく微笑んだ。
「六花、良かったじゃん。
好きなんでしょ。七星くんのこと」
そうだよ……
私は七星くんのことが好きだよ……って
え?? え!!!!!!!
何で知っているの?!
私が七星くんに片思いしているなんて、
誰にも言ったことなかったのに。
親友の桃ちゃんにさえも。



