「りっか~、やっと帰ってきた」
教室に戻ると、
親友の桃ちゃんがお昼も食べずに
待っていてくれた。
「桃ちゃ~ん!!」
「どうした六花、
今にも泣きだしそうな
ムササビみたいな顔して」
「ムササビじゃないもん……」
「そこはいいから、どうした?」
「えっと……たこ焼き……パクリ……」
「ん?」
桃ちゃんは、
眉間にМ字のしわを寄せて固まっている。
「六花ごめん。
全く意味が分かんない」
「え……と……
どこから話していいか、わからないよ……」
「一回、落ち着こうか。
六花は、一颯(いぶき)先輩に
お弁当を届けに行ったんだよね」
「そう!思い出した。
お兄ちゃんって本当に悪魔なんだよ。
たこ焼き食べたいって言ったから、
忘れたお弁当を届けたのに、
購買の焼きそばパンを食べていたの。
ひどいでしょ?」
「それはひどいね!
一颯先輩は、いつも六花にひどすぎだよね!
こんなかわいい六花に、ブスとか言うし」
私の味方でいてくれるのは、
桃ちゃんだけだよ!
あ……あの人もいたか……
「だからね、お兄ちゃんに言ったの。
このたこ焼き、
カラスにあげちゃうからって」
「ん?」
桃ちゃんはまたまた、
瞳を真ん丸にして固まっている。



