「……いつきさんは、変な人です…」


……本当に変

不思議な人だ

どうしてこの人の言葉はこんなに
私の心を動かすんだろう

この人の口から出る言葉は
いつも穏やかで優しくて
耳に心に、すんなり入ってくる


「…」


体が、唇が小さく震える

胸の奥にずっと抱えていた
寂しさや悲しさ、不安が一気に溢れて


「……ふ、っ…え…」


頬を伝って落ちていく



ひとりで生きようとした

迷惑も心配もかけたくなかったから

でも、上手く出来なくて

いつもいつも誰かに助けてもらってばかりで
自分の力じゃ何も出来なかったから


私と言う存在がここにいることに
なんの価値も意味も見出だせなかったから

生きる目的だとか幸せだとか

そういうものも全然分からなかったから


だったらいなくても変わらない


姉さんやオーナー達
私に優しくしてくれた人達の存在は
すごく気がかりだったけど

泣いて傷つくかもしれない

ひどく怒って悲しむかもしれない

そう思うと、すごく胸が苦しかったけど



それでも