すると審査員席からガタンと大きな物音が。



「はいはい終わり!シュウくんが鼻血出しながら気絶しちゃったでしょ!」

「·····ちぇ〜」



審査が中断されたことが不服だったのか、ほっぺを膨らませながら止めに入った誠くんを冷たい目で見つめている。



「殺す殺す殺す殺す殺す·····」

「伊織くん、だっけ?ちーちゃんは妹のことになるとやばいから気をつけてね。」



お兄ちゃんの過保護さを当たり前のように解説する尚さん。



あんたがなぜ知っている。



··········ああ、もう考えるのやめよう。イライラが止まらなくなる。



「ご忠告ありがと!金髪おにーさん!」



そう言って無邪気な子どものような笑みを浮かべる。



さすが最年少。かわいさの暴力だ。



「·····やっべ、俺今キュンキュンした。」

「ナオ!俺を裏切んのかああああ!」



大声に驚いた東くんにお兄ちゃんが腹パンを喰らわせされるのは、僅かこの5秒後の話。