「じゃあ僕がモデルの審査やりまーす!」

「お、お願いします。」



伊織くんはじーっと入念に私の全身を見た後、体の各部位を隅々まで食い入るように観察する。



なんか品定めされてる気分··········。



「スタイルは·····まずまずってところだね。あ!でも僕は嫌いじゃないよ!」

「·····ありがとう?」



女の子顔負けのかわいさを持つ伊織くんに言われると、柄にもなく照れてしまう。



そんな顔が緩みきっている私を冷ややかな目で見つめるお兄ちゃん。



そして突然歩き出したかと思うと、伊織くんの頭を強めの力で叩く。



「人の妹口説くなガキ。」

「うえーん!千尋くんのいじわる〜!!」



叩かれた伊織くんは、あまりにも痛かったのか声を上げて泣き出してしまう。



この野郎、クソ兄貴··········



私の心の中のあらゆるブラックな部分が、これでもかというほど顔を覗かせる。



しかし私は知らない。



伊織くんがお兄ちゃんの方に向かって余裕の笑みを浮かべていることを。