このピリついた空気を察してか、夏生さんさっきより高めの声でみんなに呼びかけた。



「決まってないなら、一通り審査してから考えましょ♡じゃあ、あとはよろしくね〜!」



嘘でしょ!?今助けてくれる流れだったよね!?



審査員席にいた誠くんも同じことを思ったのか、即座に夏生さんを呼び止める。



「兄貴!俺たちに丸投げする気!?」



誠くんがその一言を発した瞬間、スタジオの空気さらに冷たくピリついた。



「······おい。兄貴はやめろっつってんだろ。」



さっきのキャピキャピした声とは違い、地に響くような低い声。



「······はい。」

「もー、まーくんったら忘れっぽいのね♡なっちゃんって呼びなさい♡」



······さっき、「兄貴」って言ってたよね?



そういえばこの二人はどっちも名字が"一ノ瀬"·····ってことはここ兄弟!?



言われてみれば綺麗な茶髪とか、癖のない顔のパーツとか、似てるかも······!