「う、そ······」



なんで目の前に推しの千歳くんが······?



「ようやく二人きりになれたね。」



そう言うと眩しい微笑みを私に向ける。



じょ、状況がいまいち······えーっと······



混乱する私をよそに、千歳くんは次々と話し始める。



「今日は急に呼び出しちゃってごめんね。」

「·····へ?呼び出し?」

「補欠合格の件。僕がどうしても君を一次通過させて欲しいって頼んだんだ。」

「あ、そ、そうだったんですね·····」



全く理解できない。なんで千歳くんが私なんかを?



······ん?というか、今さらっと一次通過って言った?



「え、一次通過なんて私全く聞いてないんですけど。」



わかった。これは誰かと間違えてるパターンのやつだ。



ふむふむ、千歳くんも意外とおっちょこちょいなところあるんだね。



私は少し微笑ましい気持ちになりながら、いつの間にか私の腕を掴んでいた手を離そうとした。



が、「外してやらない」とばかりにより一層強く腕を掴まれる。



「だって補欠合格なんて、落ちたも同然でしょ?」



······なるほど。千歳くん、意外とグサグサ言うタイプなんだね。



でも、これで人違いじゃないってことはわかった。



「それで、君を通過させた一番の理由なんだけど·····」



そう言って少し照れたように微笑む千歳くん。



「君に一目惚れしたから、なんだ。」