この人は同じバイト先の喫茶店で働いている先輩の望月尚さん。



今は大学院生·····だったかな。



そして日本人とフランス人のハーフっていう誰もが羨む肩書きの持ち主。



スッと通った鼻、綺麗なブロンドの髪、澄んだブルーの瞳·····



まるで彫刻のような顔を持つ彼は、いつも道行く人の視線を一身に浴びながら歩いている。



この人にとっては当たり前のことなんだろうけど。



私も初めて見た時はどこぞのモデルさんかと思ったよ·····



そして、一応私のバイト先の"先輩"のはずなんだけど·····



「Salut!(やあ!)子猫ちゃん。今日も相変わらず可愛いね!」



一向にフランス語が抜けないわ(むしろ悪化してる気がする)、常識が通じないわ、動物まで口説いてしまう天性のチャラさ·····とまあ、完全なるフランス人ノリなのである。



「ほら!次のシフトは尚さんですよ!猫と戯れてないで早く着替えてきてください。」



「うぅ·····沙那ちゃんと同じシフトがよかった〜·····」



「はいはい。頑張ってきてください。」



これじゃ、どっちが後輩か分からないな。