とは言ってもお金もだいぶ底を尽きてきてるし、レッスンなんてとてもじゃないけど通えない。



·····自主練あるのみ!



一次審査は書類審査らしいんだけど、二次審査は実技試験。



二次審査の内容は一次を通過しないと分からないらしいから、今から少しでも対策しておかないと!



動画を見ながらただひたすらに試行錯誤を繰り返す。



それはバイト終わりの今も例外ではなく、携帯の画面と必死ににらめっこ中。



「沙那ちゃーん!Ça va?(元気?)相変わらず頑張ってるね〜」



「·····あ、おはようございます。尚さん。」



「Mais non!(違うよ!)僕の名前は“Nao”!ナーオゥって何回も言ってるでしょ!



「ここをどこだと思ってるんですか·····」



「Huh!(え!)日本でしょ?」



「だったら普通に喋ってくれません?ほら、"郷に入れば郷に従え"ってよくいうじゃないですか。」



「ご、ゴウ?Go·····?」



そう言って大きく口をぽかーんと開けている。



·····この人意味わかってないな。