キスツス




「なんだこのガキは」

「二ファ、ちゃん。
道に迷ったみたいだからお城まで送ってあげる」


ジロリと睨みつけてくる男の人から隠すようにユキさんがわたしの前に立つ。

ユキさんで良く見えないが、その顔は驚いているようだった。


「この国の城へ.....?
こいつはここ住人か?」


その問いにユキさんから顔を出したコクリとうなずく。

それを見た男の人は少し考えたあと、そうか。とポツリつぶやいた。


「さてさて、じゃあ夜が明けてしまう前に行こう。

わたしは先に行くから二ファちゃんはアオイと来て」


ユキさんはそう言い残し、剣を構え、返事を待たずにそのまま行ってしまった。


「おい!!」

あおいさん?とわたしだけがこの場に残る。