時計の針が重なる前に



電話から10分ほどたった頃


「花梨さん!」

声がした方に顔を向けると冬哉がこちらに向かって走ってきていた。


花梨のまえに来るとしゃがんで花梨に目線をあわせた。


優しく花梨の手をにぎった。


「どうしたんですか?」


優しく尋ねる。

「わたし……」

話そうとすると言葉がつまって何も言えなかった。


だからといって、泣くのは冬哉に迷惑をかけてしまうのではと思い必死にこらえていた。


そんな、花梨を見て、何かを察した冬哉は

「花梨さん、もし、嫌でなければ俺の家で話を聞かせてください。
もう、秋も近づいて夜は冷えます。それに、ここだと、いつだれが通るかもわかりません。」

冬哉の提案に肯定の意味を込めてうなずく。