時計の針が重なる前に



「だから、あんたにも不幸になってもらわないと。」

寧々が、不敵な笑みを浮かべると同時にガラスの靴が彼女の頭上に掲げられた。


「やめて!」


何をしようとしているのかとっさにさとった花梨はそう叫んでいた。


が、


パリーンッ…!


寧々の手からガラスの靴は消えており、手遅れだった。


花梨は、割れたガラスの破片を呆然と見つめていた。


寧々が花梨の肩に手をおき、


「調子にのってるんじゃないわよ
だいたい、あんたみたいな小娘が相手にされるわけないじゃない」


そう、言い放って部屋を出ていった。


花梨はしゃがみこみ、ガラスの破片を丁寧に集めていたが、涙が次から次へとあふれでて止まらなかった。


そして、気がついたら家を飛び出していた。


がむしゃらに何かから逃げるように走った。

どれくらいそうしていたかわからない。


ふと、立ち止まると目の前には家から少し離れた公園があった。