時計の針が重なる前に



「は?」


花梨にとっては、その言葉が八つ当り以外に聞こえなかった。


「は?じゃないのよ!

私はこんなに辛い思いしてるのに、あんたはなーんも辛いことがない。のうのうと生きてる。」


思わず、あんたらに辛い思いさんざんさせられてますけど、っと言いそうになったのをグッとこらえた。


「意味がわかりません。とりあえず、そのガラス細工を返してもらえませんか?」


花梨にとって最優先事項はガラスの靴を取り返すことだ。


冬哉からもらった、大切なものだから。