掴んでいた手を離し我に返った。
しかもこんな誰もいない場所に連れ込んで。
俺……弟だったんだ。
とんだシスコンだな、笑っちまうわ。
「もしかして……ヤキモチ?」
「はっ!?何でそうなる……ってやっぱそう…なるのか!?」
そう思われて当然のことしたわ。
弁解の余地もねぇ。
項垂れてる俺に一歩近付いて髪を撫でてくる奈那の笑顔。
立場逆転した時の不適の笑みはいつ見ても心ごと奪われる。
「よしよし、ヤキモチより心配してくれたんだよね?可愛い弟め」
あ……また線引きされた。
危なくなったらすぐ弟扱いする。
一歩踏み込んでも奈那の方からすぐ一歩下がるんだよな。
何回やってもその繰り返し。
勉強しろよ、俺もってな。
その時新たにドアが開く音がした。
硬直した二人は静かにその場にしゃがみ込む。
誰……!?誰だ……!?
「確かここに末永さん入ってった気がしたんだけどな…」
男の声……!!
「なに?今日こそ告白!?」
「あったりめーじゃん、どんだけ温めたと思ってんだよ」
またしても奈那を追いかけてきた告白野郎かよ。
何なんだよ、今日。
告白ラッシュか!?
「ていうか誰も居なくね?」
「見間違いかな?」
バッチリその会話を聞いていた奈那と俺は身を寄せ合い息を潜めていた。
頼むから諦めて出て行ってくれ。
間違ってもこっち来んなよ…!
マジでモテ過ぎだろ、毎日かよ?
まさか、こいつらにも…!?
小声で「あれもちゃんと断われよ?」と耳打ち。
「シッ!声出さないで」って一喝。
それより顔が近いことに動揺しちゃってガタン!と物音をたててしまう。
ヤバっ…!!
「ほら、やっぱ居るんじゃん?末永さーん、居る?」

