「ほら、やっぱり……ちょっとカサついてる」
………!?!?
奈那の細い指が俺の頬に触れてる。
びっくりし過ぎて固まるとかどんだけダサいんだよ。
結構近い距離で微笑んでくるし。
静まれ、俺の心臓……!!
手際良く何かを顔に付けられる。
警戒してたらプッと笑われた。
洗面台にもたれながら更に近付くようTシャツを引っ張ってくる。
ヤバい…!これ以上はキツい…!
「保湿クリーム塗ってあげるね」
おい、風呂上がりだぞ!
この距離で上目遣い!
胸元ゆるめのTシャツなんて着るなよ!
ホットパンツ!
ヘタしたらキスしてんじゃねぇかと思われるシチュ!!
片方の手、肩に置かれてますけど!!
何で一人涼しい顔して塗ってくれてんだよ!
「男の子も保湿しなきゃダメだよ?カサ男くんだとモテないぞ〜」
何だよ、その余裕。
こんなことされて舞い上がってんのはいつも俺だけ。
「別にモテようとか思わねぇし」
「そうなの?今日の彼女、付き合ってるんじゃないの?」
「違うし」
「大丈夫?」
「何が?」
だから顔近付けんなって…!
直視し辛い。
顔が火照ってくんのマジやめたい。
「ヒロの年頃だと毎日モテることばっか考えてるんだと思ってた」
「他の野郎と一緒にすんな」
「ごめん、ごめん」
「もう塗り終わった?行っていい?」
「うん……あ、そうだ、ここにクリーム置いてるから勝手に使ってくれていいよ」
「は?面倒くさい。タイミングわかんねぇし」
「お風呂上がりが一番最適なんだけど……あと洗顔後?」
「いいよ、絶対忘れるから」

