「じゃあヒロと離れない」ってギュッと抱きついてきた。
見上げるから顔が近い。
この視線にめっぽう弱い。
“ヒュ〜”なんて声も聞こえてきて秒で現実に戻されるんだけど。
そんなのお構いなしなのはいつも奈那の方で……離れてくれないのもそろそろ慣れてきたわけで。
「あ〜クソっ」と肩を払ってキスを落とすと不思議そうに奈那が見上げる。
「さっきのヤツが触ってたから…消毒」
ごめんね、ガキっぽくて。
でも嫌で堪らない。
「え、こっちも消毒して…」
「え…?」
人差し指で唇押さえるから血の気が引いた。
「えっ!?されたの!?」
「アハ、違う違う。されてないけど肩だけで終わるの〜?って意味」
何だ、そういうことね。
ビビったぁ〜!
されてたんならぶっ飛ばしに行くところだ。
本当、見境なくなりそう。
奈那を悲しませたくないからそうならないようにはするけど。
嗚呼、一瞬でこの瞳に捕まる。
キスして……って顔。
「えっと……奈那!?人めっちゃ居るよ…?」
「ヒロが抱きしめてきたんじゃん…」
「それは消毒……」
「だから肩だけ…?」
「……するの?」
もう重なるのも時間の問題なんだろうけど、かなり視線感じてる。
“ラブラブ〜”とか言われてるよ…?
この時間帯、子どもも居るわけで。
近くでジュラシックパークザライドの歓声が聞こえてきたから助かった。
ボートに乗って水しぶきを浴びるアトラクション。
皆、そっち見てる。
確認してたら奈那の手が俺を捕まえて
「ほら、今のうちだよ」って。
いや、ガッツリこっち見てる人も居るけど…!?
ソワソワしてる俺に見兼ねたのか、真っ直ぐ向けられた瞳のまま……
「煽ったヒロが悪い……もう見せつけちゃえばいいじゃん」
チュッと軽いキス。
ウォータースライダーを乗り終えた人々がうじゃうじゃと出てきてるのに、離れようとした奈那の首に手を添えて止めてしまった。
「ヒロ…?」
言っとくけど煽ってきてんの、奈那だから。
「まだ見せつける…」

