触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




楽しい冬休みを前に厳しい期末テストが立ちはだかる。
ていうか奈那、受験もあるのに大丈夫なのかよ……




って心配したのは無意味だった。
学年で3位とかいつ勉強してんだよ!
そんな素振り全然なかったぞ!?
たまたま見てしまった順位表。
数Ⅱなんて満点じゃねぇか。
理系の俺ですら取れねぇよ。




受験を控えた今は追い込みで忙しいはずなのに俺たちに付き合うなんてこの順位じゃなきゃ出来ねぇよな。
ま、あまり長居しないよう仕向けなくては。




で、勉強会当日。
末永家リビングに集まったメンバーは、
俺、奈那、純太、宏介………以上。
ひたすら奈那は頭を下げていた。




「本当ごめんね?チカもマキも追い込みだから塾に行ってて、私しか居ないんだけど…」




「いや、謝る必要なんかこれっぽっちもないから」




「そうですよ!逆にすみませんでした」




「お姉さんもご自身の勉強してください、俺ら静かにしてますんで」




「いや、私は大丈夫だよ?約束はちゃんと守り…ます」




制服のままリビングのローテーブルを囲みソファーではなく床に座って各々参考書を開く。
ジュースにお菓子まで用意してくれてさ。
「ヒロは何勉強するの?」って髪を耳にかけながら聞いてくる。
おい、今ので純太のやつ喉鳴らしたぞ。
蹴り飛ばしてやろうか。




「ん、数学」




覚えるより公式に当てはめて計算する方が楽だし理性が働く。
丸暗記するやつは自分の部屋でする。




「じゃあ私も数学しよっと」




「俺もします!」
「俺も!!」って二人揃って声でかいよ。
「わからないところあったら遠慮なく言ってね」ってムムム。




この状況でそうなることは想定出来たけどやっぱり目の前で奈那が俺以外に勉強教えるとか面白くない。
行くなって手を取ってしまいそう。
俺……今日めっちゃ妬きもちやくんだろうな。