「ちゃんと大事にしなよ?」
違う、欲しいのはそんな言葉じゃない。
それ……本音なの?
もう、可能性はない?
「ひよりちゃんがもし初めてなら痛いからゆっくり…優しくだよ?」
髪から頬に手が戻って……再び視線が絡む。
「ちゃんと………ゴムつけなよ?」
何でそんな悲しそうな顔するんだよ。
悲しそうに笑うなって。
「ヤバ……急に眠気が。夕方まで寝るかもだから心配しないでね」
触れてた手が離れてく。
足の間から気配ごと消えてくなんてそんなの……っ!
とっさに掴んだ奈那の腕。
振り向いたらやっぱり涙目じゃん。
「俺……好きじゃない…!ひよりちゃんは友達…それ以上の気持ちはないから」
結局ウソはつけなくて誰かを傷付ける。
もうこんなの終わりにしなきゃ。
流されちゃダメだ。
ペチッ!と頬を叩かれた。
その後すぐ抓られる。
「イテテ………」
「だったら誘わないで……思わせぶりなことしちゃダメ……」
出た…………最強の上目遣い。
「わかった」って言ったらその瞳はどうなるの……?
俺だけのものになるの……?
ポスッと胸に顔を埋めてきたから更にドキッとしたのに、立ってられないほど眠気に襲われてる。
そのままお姫様抱っこで部屋まで。
まさか、それ言うためだけに起きてきたの?
なんてな。
スヤスヤ眠るあどけない寝顔。
肩出しも素足もヤバいからすぐさま布団をかける。
寝返り打った後に「ヒロ……」は反則だろ。
どんどん期待してしまう。

