日本の南にある小さな離島。人口およそ三百人ほどの小さな町に、あたし、夏未(なつみ)は住んでいる。

八月のとある日、朝からセミがずっと鳴いている。あたしは畳の上でだらしなく寝転んでいた。服がだらしなく着崩れ、お母さんに見られたら怒られるだろうな。

あたしは、アクセサリーなどを作ってネットで販売する仕事をしている。年々お客さんが増えてきているから、そろそろまたアクセサリーを作らないと。でもこんなに暑いとやる気が出ないな。

「夏未〜!千夏(ちか)くんが来たよ〜」

お母さんの声で、あたしは体を起こす。部屋にやってくる足音がするので、身なりを整える。だってやって来るのは、幼なじみ兼一応彼氏だし。

「よお!遊びに来た」

そう言ってノックもせずに入って来たのは、千夏って可愛い名前だけど筋肉ムキムキのゴツい男。あたしの彼氏の千夏は、この島で漁師をしている。たくましくてこう見えてしっかりしているから、島一番の男と言われている。