欲望の飴と飴売り少女Ⅱ

「おい、蕾気をつけろよ」

「ごめん、亮太」

亮太はしゃがみ本を拾った。そして私に渡す。

「あんたらの名前って蕾と亮太って言うの?」

職員室に呼び出された忙しかったが、朝そんなことを言っていた。そして、私は本郷くんに名前を言っていなかった。


「そうだけど?何」
少し冷たい視線を送る亮太。

「もしかして、大きな家とその家の向かい側のぼ…アパートに住んでる?」

本郷くんは私と亮太の家を言い当てる。2人の間
に冷たい空気が見える。

「本郷くん?エスパー?」

亮太と本郷くんが下を向いて笑う。

「それ今言うとこ?」

「俺達の名前知ってるんだから、エスパーって。本郷、俺の家のことボロって言いかけたな」

亮太はボロと言いかけた本郷くんに軽く嫌味を言う。

今度は私が笑ってしまった。