欲望の飴と飴売り少女Ⅱ

「相変わらずでかい家だよな」

本郷はじっくりと蕾の家を下から上まで見る。


「あぁ。俺の住んでいるアパートぼろって言いながら俺んちの隣に引っ越して来たんだな」

軽く馬鹿にしてたくせに、本郷はこの『おんぼろアパート』に引っ越してきた。

隣に引っ越して来た人がいるのは知ってたけど、まさか本郷だとは思わなかった。


「本当にごめんって。なんか亮太は小学生の時と変わったな」

俺は本郷といた過去を知らないから何て返せばいのか迷う。

「それ、みんな言われるんだよな。大人になったねって」


蕾は包まれた花を抱えて外に出てきた。
「ごめ〜ん!遅くなった」
お見舞いに持っていく花を用意していたから遅くなった様だ。