(…あぁ、)
心臓の奥がキュッとなる。
用事を放り投げてまで走って来てくれて。
…大好きだと言わんばかりに、愛しそうな表情で。
――…キュンと、した。
やっぱりまだ好きだと、思い知らされる。
「菜穂ちゃんそんなことのために…!?ほんっとに優しいなぁ…」
「っあ、まず連絡とかすべきでした、すみません…っ」
「蓮に渡しとく。わざわざありがとうな」
「うんっ!よろしくお願いします」
「…麻見、俺――…」
「あれ、っ…蓮くん!?」
絢爛な花のような笑顔。
…彼女が向いているのは、いつだって俺の方じゃない。
「やっぱり菜穂か。見つけて走ってきた」