…さっき、イケメン一人目もとい戦犯のことを考えた。

……ちなみに戦犯とか本人に言ったら息の根を止められる気がするから絶対に言わないけれど。兄を見てればあたしも瀕死になる日はそう遠くない気がするから絶対に絶対に黙っているのだけれど。


――…それで言えば、日向も戦犯と言っていいのかもしれない。


普段は可愛いとか人懐っこいとか言われているくせに、サッカーになるとずば抜けた視野の広さとゲームメイクの巧さ、そして超人のスタミナの凛々しいプレーで観衆を魅了するのだ。


…先輩の一人は言っていた。「日向くんの普段と試合の顔つきとか雰囲気が違いすぎて、そのギャップが好き!」と。

…それに対して日向は言った。「あはっ、ギャップ萌えってやつですかー?気持ちだけもらっておきますね!」と。



(…いくら先輩だからって、あのかわし方はないよね)



その笑顔が余計、先輩を夢中にさせたとも知らずに。

日向なりの優しさだったんだろうけど、それが優しすぎて正確に伝わっていないとは絶対に分かってない。



蓮とか奏のように、自分が見ている者以外は

容赦なく切り捨てるという非情さを持たないまま、フィールドを駆け抜けている。



――…その優しすぎる性格がプレーに影響しなければいいな、なんて

あたしは今日も、余計なお世話でしかないことを考えているのだ。