溢れるほどの蜜を分け合うひとときは、甘く燃え盛る炎のようだった。



「菜穂、水は?」

「……飲む…」

「ん」



どれくらい抱かれていたのか、それすら定かではなく

虚ろな目をごまかしても無駄だと分かっていたので、蓮くんの部屋の窓から射しこむ陽光に目を細めた。

起き上がって水を口に含むと、軽やかなつめたさが身体を駆け巡っていった。




「…れんくん」

「んー?」

「…すき…」



日差しに溶け込むように彼の名前を呼んでは、一人実感を込めて想いを口にする。




「俺も」




やさしく微笑むその表情が、美しい絵画のようだと思いながら

すぐさま誘いかけるような口付けが降ってくる。

どれだけ愛してもらっても、もっともっとと求めてしまう自分が正直で、抗おうとも思わなかった。



「蓮くん、ぎゅってして」

「…随分と甘えただな?」

「ふふっ。ゆるしてください」

「オレはいつでも大歓迎です」



会えなかった分の想いを

会えたこの日と、未来に乗せる。

甘く押し寄せ続ける感覚に身体をゆだねた。



「「愛してる」」



――…これからも、蓮くんのとなりで。




【旅行のあとの甘い溺愛】完