旅行の途中でアプリに繋がるようになるかもしれない、と淡い期待を抱いたものの、全くもってダメだった。
落としてしまったのも含めて寿命だったのだろう。そう思うことにして納得はしている。
「麻見菜穂様ですね。機種データのバックアップはとっておられますか?」
「あ、はい!とってます。…この前落としてしまって繋がらないアプリがあるんですけど、データって引き継げますか…?」
「かしこまりました。お調べいたしますので少々お待ちください」
…とりあえず手続きと設定が終わったら、まずはじめに蓮くんに連絡しよう。
データが引き継げなかったらしょうがない。それこそ麗ちゃんにお願いして連絡先を教えてもらおう…。
「お待たせいたしました、連絡先や写真など、すべてのデータの引き継ぎが可能ですね」
「本当ですか!良かった…」
「設定いたしますね」
「よろしくお願いします!」
その後、3人分の書類や契約はお父さんとお母さんにお任せして
車に乗ってからも帰ってからも、できるだけ早く終わらせようと初期設定を必死にやった。
蓮くんの連絡先があるアプリを開くことが出来たのは、それから30分後のことだった。