◇
――…それから。
「菜穂、本っ当にありがとう!最高に楽しかった!」
「こっちの台詞だよ…!誘ってくれてありがとう!」
「また絶対第二弾しようねっ」
「っぜひぜひ!麗ちゃんとならどこ行っても楽しいもん!」
麗ちゃんとの楽しい日々を過ごし、あっという間に帰ってきた。
空港にはお父さんとお母さんが揃って迎えに来てくれて、今は麗ちゃんを送り届けて親同士で話をしている。
「菜穂、車出すよ」
「うん。麗ちゃんまた学校でね!」
「「またねーっ!!」」
車から麗ちゃんが見えなくなるまで手を振り合った。
楽しすぎて、夢だったのではないかと思ってしまうほどで。…現実だと知らせてくれる身体の心地良さすら愛しかった。
「菜穂、このまま携帯ショップ行くよ?」
「あっ、うん!お願いします」
「結局旅行中、アプリは使えなかったのよね?」
「…そう…。電話とかカメラとか、最初から入ってるやつは使えたんだけど」
「この際だから家族全員変えるか。どう?」
「いいわね!そうしましょう」
…蓮くんに連絡が出来なかったことだけが、ただただ気掛かりだったのだけど。