そのあと、一緒にジュエリーショップを見て、彼女が気に入っていた花をモチーフにしたネックレスをプレゼントしたときも。小洒落たレストランでディナーを食べている最中も。

とても幸せそうに笑うから、それだけで俺も満たされた。彼女にとっても、いい誕生日にしてあげられただろうか。


マンションに戻ってからも、眠ってしまうのがもったいなく、ソファでワインを飲みながら寄り添っている。

だいぶ酔いが回ってきたらしい花乃さんは、血色のいい顔でふにゃりと笑い、上半身もゆらゆらさせている。


「今日はすごく楽しかった~。ネックレスも、ほんっとーにありがとうございます。ずっと、ずーっと大切にします」

「喜んでもらえてなによりです。つけてあげましょうか」


昼間よりもさらに素直な言動をしている彼女が、ものすごく可愛い。自分の顔も緩みきっているのを自覚しながら、まだ箱に入ったままのネックレスを手に取った。

長い髪を肩の後ろによけ、細い首に手を回す。引き輪を留めて、小粒のダイヤがきらめく花から視線を上へと移して微笑んだ。


「よく似合っている」


目はとろんとしているが、そこはかとなく緊張と照れを滲ませた表情の彼女を、さっきよりもずっと近い距離で見つめる。

……ああ、もう抑えられそうにない。この唇を奪いたい衝動を。