敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~

絶叫が響き、少々スマホを耳から離した。

俺を見上げる森次さんも、暴露されて唖然としているが、ここは正直に伝えておいたほうがいいだろう。


「花乃さんのアパートの周辺に不審者情報が出たので、一緒にいてほしいと私が頼みました。彼女はお母様に心配をかけたくなくて、内緒にしていたんだと思います」

『まあ……そうだったの。ご迷惑をおかけしてごめんなさいね。でも、桐原さんが一緒なら安心だわ』


事情を説明すると、お母さんの声からは、娘の身を案じながらもほっとしている様子が受け取れた。俺はしっかりとした口調でさらにこう続ける。


「彼女を危険な目には遭わせません。誕生日も、ご両親の分まで祝わせてください」


そのひとことに、森次さんは目を丸くした。俺が誕生日を知っているとは思わなかったのだろう。

『ぜひそうしてあげて!』と好意的な言葉をもらい、森次さんにスマホを返した。少し会話をして電話を切った彼女に、満足げに微笑んでみせる。