敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~


結局、TOBARIに連絡をして了承をもらった。ついでに、俺と森次さんとで来週社食を訪問する旨も伝えておいた。

正直、あの烏丸という男に森次さんを会わせたくない。彼女を奪われそうな、嫌な予感がするのだ。

しかし、決まったものはどうしようもないし、施設の視察もビジネスの一環だ。自分もついていれば大丈夫だろう。

それより、昼間に口軽アイドルの橘さんから教えられた情報について考えるのが先だ。

彼女は七岡さんが去ったあと、俺のところにずんずんと接近してきて、急に小声で怒りだした。


『カノちゃんって恋人がいながら、セクシー料理研究家とイチャついてんじゃないわよ、イクミン! カノちゃん、もうじき誕生日でしょーが!』


いろいろとツッコみたいところはあるが、森次さんの誕生日が間近だと知らなかった俺は、教えてもらえて感謝していた。

橘さんによると、今週の日曜が二十七歳の誕生日らしい。人並みにどこかへ連れていったり、プレゼントを贈ったりしてあげたいものだ。

そのために、夕食を食べている今、まだよく知らない彼女の好みを聞き出そうと思っている。

ところが、俺の向かいに座る森次さんは心ここにあらずといった様子で、箸とご飯茶碗を持ったまま止まっている。