敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~

「また私任せですか……」

「いいじゃない。今度サービスするわよ」

「なにもいりません」


そばにやってきて、再びねっとりと肩に手を置く彼女を冷たくあしらった。なんだか不本意にキャバクラに連れてこられたような気分だ。


「とーにーかーく、よろしくね! 決まったら連絡して。あっ、これお土産」


七岡さんは強引に話を終了させ、持っていた手土産の紙袋の存在を思い出して俺に渡す。そして「じゃ、また」と片手を軽く振って、社長室を出ていった。

彼女は去り際にフロアにいる社員たちと気楽に話している。その様子を、仕方なく口元にだけ笑みを作って見送っていると、社長がいたずらっぽく口角を上げて言う。


「なんのサービスしてくれるのか楽しみだな、イクミン」


上辺の笑顔のまま、チッ、と思わず舌打ちをしてしまった。

ああ、自由奔放な人たちの相手は疲れる……。早く森のお花に癒されたい。