敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~

自分の人生を変えるのは自分だ。動かずに後悔したくない。

勇気を出してその思いを両親に伝え、反対されても意見を曲げなかった。私が反対を押し切ったのは初めてだったから、ふたりはかなり戸惑っていたと思う。

結果は私の粘り勝ち。仕方なく折れて、ひとり暮らしも許してくれた両親は、今では私の頑張りを認めて応援している。

それは確かなはずなのだけれど……。



「えっ、カノちゃんが強制お見合い!?」


パーフェクト・マネジメントのオフィスで、私が両親からの命令を同僚に打ち明けた直後、甲高い声が響き渡った。

慌てて口の前に人差し指を立て〝しー!〟とジェスチャーすると、彼女は〝しまった〟という顔をして口に手を当てる。

ふたりして周りを見回せば、昼休憩中の今はあまり社員がおらず、ほっと息をついて椅子に座り直した。

私と同い年の彼女、(たちばな) 瑛美(えいみ)は、アイドルのようなテンションと話し方で性格もよく、仕事面でも人事部の次期部長と目されている有能な子だ。私とは正反対。

ふわふわとしたウェーブの長い髪に、素朴で愛らしい顔立ちをしている彼女は、どう見ても純日本人だが、本人の強い希望で職場の皆はエイミーと呼んでいる。