恋心を確信するのはかなり久々で、なんだか学生の頃に戻ったような青臭い気分になる。

ともかく、好きな女性とベッドで密着しているのに、なにも手出しできないのは生殺しだ。


「こんなに可愛いことして……早く起きないと襲うよ?」


欲求を持て余した指に髪を絡ませて弄りながら呟くと、身体がピクリと動いた。彼女はまたしても悩ましげな声を漏らして目をこすり、うっすらと瞼を開く。


「おはようございます」


どんな反応をするのかが楽しみで、背中を抱いたまま微笑みかけた。寝ぼけ眼の森次さんは、ぼーっとしながらも挨拶を返そうとする。


「お、はよう、ございま……?」


どうやら異変を感じたらしく、しばし俺を見つめてぽかんとする。数秒後、これでもかと目を見開いて、ガバッと上体を起こした。


「あれっ!?」


森次さんはまだ状況が飲み込めず、目を白黒させている。俺はベッドに肘をついて頭を支え、いたずらっぽく口角を上げる。


「覚えていないんですか? あなたからくっついてきたのに」

「ええ~っ!?」


驚愕の声を上げて頭を抱える彼女への、意地悪な攻撃は終わらない。