敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~

なぜか専務もシートベルトを外して、こんなことを言う。


「私も部屋までいきますから、必要な荷物を持ってここを出ましょう」

「え?」

「不審者がまたいつ現れるかわかりませんし、私が毎日一緒に帰れるとは限りません。ならば、あなたの拠点を移したほうがいい」


ぽかんとする私に、彼は真剣な眼差しを向けて続ける。


「しばらく私のマンションで同居しませんか? 確実に安全が保証されるまで」


しばらく、専務と……同居!?

驚きで固まる私は、予想外の提案で心の中だけが慌ただしくなる。不審者に対しての恐怖は吹っ飛び、また別の不安に襲われて。

場所を変え、さらにひとりにならずに済むのは、この上なくありがたいし安心だ。とはいえ……。

この間はひと晩だけだったからよかったけれど、しばらく一緒に暮らしたらどうなる? 心臓がドキドキしすぎて身がもたないのでは?

寝ても覚めても憧れの専務と一緒だなんて、妄想すらもしたことがない。そのくらいありえないことだから。

ただ、彼が眼鏡を扱う仕草にいちいちときめくのは間違いないだろう。そうしてそのたび悶える姿を目撃されたら、絶対おかしな女だと思われる。

きっと不細工な寝顔や、洗濯したら下着も見られてしまうかもしれないし……!