敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~

「パーフェクト・マネジメントさんのおかげで、ここの社食は本当に評判がいいんですよ。先日もテレビ局の取材が来まして。そちらの本社にも行かれたんですよね?」

「ええ。うちの社長が突拍子もないことを言い出すんじゃないかと、インタビューの様子をひやひやして見守っていました」


苦笑する専務の苦労はよくわかり、つい笑ってしまった。社長の破天荒さは、会議や取引先との打ち合わせでも健在で、その場を収めるのが大変なのだそう。


「専務を信頼しているからこそ甘えてしまう社長の気持ち、なんとなくわかります」


頭脳派で包容力のある専務の頼もしさを常日頃から感じているのは、社長だけじゃないから。

なにげなく呟くと、彼は私を一瞥して笑みをこぼす。そして、「困った大人ですよ」と呆れた調子で言うから、私はまたクスクスと笑った。

そんなやり取りを、烏丸さんが目を細めて眺めていることに気づき、私は逸れてしまった話を軌道修正させる。


「オンエアーを見るのが楽しみです。こちらの社食は実際に利用したことがありませんし」


TOBARIの社員以外、一般の人は利用できず、私がここに来る用事もなかったため、食堂の様子は写真でしか見たことがない。