敏腕専務はウブな彼女を染め上げたい~イジワルな彼の甘い言いつけ~

値上げ交渉はシビアな問題だから毎回気を遣う、と先輩方が言っていた。簡単には納得してもらえない場合もあるらしいが、今回はどうだろうか。

若干緊張しながら烏丸さんに注目していると、資料に目を落としていた彼は小さく頷いて顔を上げる。


「わかりました。こちらでも話し合わなければいけないので、今結論は出せませんが、おそらくこの条件で大丈夫だと思いますよ。パーフェクト・マネジメントさんはよくやってくださっているので」


明るい表情でそう返してもらえて、肩の力が抜けていく。


「こちらだけに利益があるようではいけませんからね。持ちつ持たれつでやっていきましょう」

「ありがとうございます。とても助かります」


快い返事に、専務は安堵の微笑みを浮かべて頭を下げ、私も胸を撫で下ろした。

よかった、問題なく受け入れてもらえそうで。烏丸さんはとても理解のある人だな。ただの眼鏡イケメンじゃない。

私の中で好感度がぐーんとアップした彼は、フレンドリーな調子で堅苦しくない話へと方向転換させる。