さらりとすごいことを言われ、全身の毛が逆立ちそうなほどの衝撃を受けた。付き合い始めたばかりなのに、もうそんな話が出るとは思わなかったから。

しかしよく考えてみれば、お互いに結婚することを望まれていたから、お見合いさせられそうになったわけで。それを回避するには私たちが結婚するしかない。

そしてなにより、断る理由などひとつもない。


「……もちろんです。あとにも先にも、私には生巳さんしかいませんから」


微笑んで素直に答えられたものの、やっぱり照れてしまってしおしおと俯く。その直後、彼が小さくため息を吐き出した。

あれ、答え方を間違えた?と、ギクリとしたのもつかの間、包み込むように頭を撫でられる。


「あなたの可愛さは罪深いな。今すぐここで襲いたくなるくらい」


耳の上のほうから欲情めいた囁き声が降ってきて、心臓が飛び跳ねた。

頭の中で、眼鏡とスーツの極上な専務姿の彼に、敬語で攻められる妄想が瞬時に繰り広げられる。『今すぐここで』なんて言うからだ。

ああもう、それもめちゃくちゃ性癖に突き刺さる……! 抱かれる経験を得たが故に、妄想がリアルになってしまっていけない……!