ぷっと吹き出した彼は、珍しく声を上げて笑った。おかしそうに、かつ嬉しさも交ざっているような笑顔は、なんだか尊い。


「なるほど……そういうことだったのか。よかった、怖がられていたわけじゃなくて」


予想していた反応とは違い、安堵の表情を浮かべる生巳さんに、私はキョトンとする。


「引きませんか……？」

「全然。あなたの意外な内面がまた知れて嬉しい。それに、俺も似たようなものだからね」

「似たようなもの？」


つけ加えられたひとことが気になって聞き返すと、彼は「ああ」と頷く。


「あなたが眼鏡フェチなら、俺は意地悪フェチ、ってところか」


含みのある笑みを浮かべてそんな告白をされ、私は目を丸くした。

生巳さんは、意地悪するのが好き、ってこと？　……ああ、なんだか納得。烏丸さんも言っていた通り、本性はＳなんだなと今日はっきりわかったし。

私も彼も、一風変わった好みを持つ者同士だったのか。