遠ざかっていくテールランプを、なんとも言えない心境で眺めていると、寄り添う花乃が張り詰めたものを解くように力を抜いた。


「生巳さん……また助けられちゃいましたね。ありがとうございました」


健気な笑みを見せる彼女を、たまらず抱きすくめる。安堵の息とともに、「間に合ってよかった」と心の声を吐き出した。

腕の中に閉じ込められたまま、花乃は俺を見上げる。


「どうして帰ってきたんですか? 同級会は……」

「詳しくはあとで話すが、嫌な予感がしたんだよ」


ことなきを得たからよかったものの、花乃への罪悪感と自責の念に押し潰されそうになる。


「元はと言えば、うかつなことをした俺のせいだ。あなたを巻き込んで、危ない目に遭わせて……本当にすまない」


無意識に抱きしめる腕の力を強めると、花乃は慌ててぷるぷると首を横に振る。


「そんなことないです! いつも守ってくれたじゃないですか。美香さんがあんなことまでするとは、誰も思わなかったし……」


そこまでで言葉を区切った彼女は、どことなく物憂げな表情に変わる。