キミ観察日記


 そこには、あの夏の記録が綴られていた。

「当時、僕がお前との生活をレポートにしていたこと。覚えているか?」
「うん」
「あれを読んで、先生も日記をつけていたんだ」
「……どうして」
「それは僕にはわからない。これはあくまで僕個人の考えに過ぎないが――そしてとても残酷なことを言うが」
「いって」
「ひょっとしたら先生は、同じことをしてやろうと考えたのかもしれない。娘を傷つけ殺めた男に、報復しようとした。けれど。直前で思いとどまって、僕を呼んだ。先生はわかってたんだ。お前には罪はない。戒められる必要もないって。だから守った」
「これをヨイチが持ってるのはどうして?」

 そう問いかける少女の声は震えていた。

「伝えて欲しかったんじゃないかな。自分の口からは言えないことを、僕からお前に」
「……なに、を?」
「それをみれば、わかる。どれだけ先生がお前を可愛がっていたか。愛していたか。読めば、ちゃんと伝わる」