キミ観察日記


 少女の目に、涙がたまる。

「言わせるなよ」
「ずっとこのまま傍にいてってお願いしたら? それでも邪魔って言わない?」
「……どうした。繭になにか、そそのかされたか?」
「ヨイチのせいだよ」

 少女が与一をじっと見つめる。

「こうなったのは。ヨイチのせいだから」
「……僕かよ」
「責任とってくれる?」

 与一は、少女をまっすぐに見つめ返す。

「とるさ」
「……え?」
「とるから。泣くな。でなきゃ繭に三枚におろされる」
「いつ?」
「それはーー……お前が大人になったら」
「わたしをお嫁さんにしてくれるってこと?」
「なりたいのか?」
「もちろんだよ」
「……だったら。僕だって本望さ」
「絶対だよ。やっぱりナシはダメだからね?」
「二言はない」
「ヨイチーっ!」
「おまっ……、泡ついた手で触るな。水道止めろ」

 少女に押し倒される、与一。

「危ないだろうが」

 与一に馬乗りになる、少女。

「ヨイチはお医者さんになるの?」
「そのつもりだ」
「頑張ってね」
「頑張りますとも」
「ヨイチ」
「なんだよ」
「……ヨイチは。センセイになろうとしているの?」