キミ観察日記

「……センセイには会ってる?」
「ときどきな」
「わたしは、会ってない」
「そうか」
「会えないよ。合わす顔、ない」

 少女は、とても受け入れきれない。

 自分の父親が、凶悪犯罪者であり――センセイの娘をもてあそび殺した、という事実を。

「先生は。わたしのこと、すごく憎んでる」
「憎んでるのは、お前のオヤジだろ」
「……ヨイチは会ってる」
「へえ。オッサンがそう言ったのか?」
「んーん。でも、ヨイチが帰ってこないときは。センセイのところに行ってるんだと思う」
「そこで彼女がいるとは考えないあたり。めでたいよな」
「か、カノジョは……いないって言ってたもん」
「だったら友達以上恋人未満の関係って可能性は? あんなつまらなさそうな男でもーー医学部の生徒なら保険かけられてたり、ていよく使ってくるオンナの一人や二人いるかもな」

 少年の言葉に少女の心がざわつく。

「ヨイチはそんな悪い女のひとに興味ないし。つまらない男じゃない」
「わかんねーぞ。慣れてないだろうからな。甘い誘惑を拒みきれるかどうか」
「拒めるよ」
「優等生ぶってるけどムッツリそうだからな~」
「女のひとじゃなくてセンセイと会ってるの」
「はは。ムキになりやがって」