ハヅキの動きが止まった。 目を丸くして私が差し出したチョコを見ている。 「…えっ…と、どうしたの?」 まさか七味が大量に入っているのがバレたんじゃ…と焦ったけど、ハヅキは私の手からそれを受け取って、ふわりと笑った。 「……ありがと」 「…っ!?」 ――なに今の。 一瞬時間が止まった気がした。 だってハヅキが。いつもの作られたような笑顔じゃない。 あまりにも、嬉しそうな顔で笑うから。 『ねぇさぁちゃん、だーいすきっ!』 ――あの頃の笑顔だ。