「で、いきなり殴られて言われた。

お前に二度と近づくなだってさ。半径5メートル以内に近づいたら殺すって」




「は…」




半径5メートル!?




渓渡がやたら遠くにいるのもそのためか。




て、いうか何で。



何でハヅキがそんなこと…







「言ってたぜあいつ。お前が他の男に泣かされるのは許せないんだとさ」





“泣かすのは俺だけでいーんだよ”







…嘘でしょ。





固まる私に、渓渡は「ったく、何で俺が殴られなきゃいけねーんだよ!」と言葉とは裏腹に優しい手つきで自分のシップを撫でた。




「いいか!?お前こそ二度と俺に近づくんじゃねーぞ!この嘘つきヤロウ」




そして怒りおさまらないと言った感じで、私の横をすり抜け校舎を出て行く。








…ハヅキ。私はあんたの考えてることが、ほんっとに分からない。