勉強は嫌いだ。 でも、板書するとき、チョークが黒板をなぞる音は、ちょっとだけ好き。 「…よし」 本日の三限目は古文。 板書し終えた先生が、満足げに頷いてチョークを置いた。 「じゃぁここの現代語訳を…今日は18日だから、18番だな。男子18番は…和原」 「………」 「京星くん、当たってるよ。京星くん!」 机に突っ伏して爆睡している京星くんを小声で呼んだ。 「…ん?」 京星くんの眠たげな瞳がうっすらと開く。 京星くんはいつも授業中の7割、…いや。8割くらいの確率で、寝ている。