蘭蝶 短編集

「っち、いいから来い」



『嫌だってば!』



振払おうとするけど力任せに掴まれてる腕は離してもらえない



「大人しくしろよ!」



男が手を振りかぶったのが見えて思わず身構える



…蘭蝶が聞いて呆れる…。恋をすると相手に一喜一憂してこんなに弱くなるなんて…。



痛みに備えて目を瞑る



けれど、聞こえたのは殴る音とぐえっと言う声



目を開けると湊が男に馬乗りになって拳を振り下ろそうとしている所だった



『み、みなと…?』



私の声にはっとして湊がこちらを見る



「美玲…!大丈夫だったか?!」