蘭蝶 短編集

車が車道脇に止まり飛び出す



「あ…!美玲…!!」



後ろで湊の私を呼ぶ声が聞こえたが無視だ、無視



……こんな意味不明な彼女、湊に捨てられるのも時間の問題…。



お化粧や髪が崩れるのも構わずとめどなく零れる涙、走る足。



…折角の久しぶりの湊とのデートだったのに、台無しだ



近くに人気の無い公園があって思わずベンチに蹲(うずくま)る



ジャリジャリと誰かが近づく音



「おい、ねーちゃん」



私の肩に触れた誰かの手。思わず顔をあげた



「お、アタリだな。俺と来ねぇ?」



力強く腕を掴まれ痛い



『いきません。』