「座らないの?」


私の前に立ち、顔を覗き込むようにして話しかけてくる。



「次の駅で人がたくさん乗ってくるし、俺は立ってるよ」


そうなんだね…。


見上げると、やっぱり律くんが眩しい。


昨日の素っ気なさはどこへ?


「あのさ」
「あの…」


同時に話しかけて、お互い黙り込む。


「えっ、なになに」
「どうしたの?」


そしてまたかぶった。


「ハハッ」
「ふふっ」


同じタイミングで笑ってしまう。


なんだろうこのしっくりくる感じ。


律くんといると安心するし、すごく楽しい。


通学時間が、毎日こうならいいのに…。