ワケあり男子

髪に、律くんの指が触れた。



もうそれだけで緊張して、反射的にぎゅっと目をつぶる。



うわあ…なんだろう、この感じ。



「殴ったりしないから」



申し訳なさそうに律くんが目の前に立っている。



そんなつもりじゃなかったのに、私の態度がそう思わせてしまったみたい。



「ち、違うの…。ドキドキしちゃって…」



「…………」



あれあれっ、言葉を選び間違えた?



律くん真顔になってるし。



引いてる!?



「男の子と話すのに慣れてなくて…」



「ああ、そーいうことか」



表情が柔らかくなって、ホッとした。



「男に免疫ないの?律につけてもらえば」



「ええっ!?」



如月さんがニヤニヤしながら私の背中を押す。