ワケあり男子

「忘れ物したのはお前だろ?乃愛ちゃんは、3番の部屋までマイクを持って行ってくれたんだよ」



「部屋に?」



バチッと律くんと目が合う。



この律くんが…マリモくんと…。



「ああっ…あの、どの部屋かわからなくて…」



「兄貴に使われた?バイト代もらえよ」



「そ、そういうわけでは。たまたま…」



「たまたま?」



「あ…え、と。如月さんは、なにかきっかけをくれようとしたのかなって。私が…律くんやマリモくんと話せるように…」



そうなのかなって思った。



違うかもしれないけど…。



「お人好しだな。兄貴がそんないいやつに見える?」



律くんがククッと笑って、私の頭に手を伸ばす。



ひゃあっ…。